01.

クルミ

冬の支度が慌ただしくなる秋の日
倒木の隅にクルミを見つけた
キミが隠していたクルミをボクが見つけてしまった
森では生き延びる為にみんな必死なんだよ

あくる日キミがそこで立ち尽くしていた所
羽根の生えたヤツに連れ去られた
間違いなくキミが助かることは無いだろう

全てを見ていたボクは
安心してしまったんだよ
もう気に病む必要も無いと
やがて冷たい冬がやって来て

春を待つ巣の中で……
何かを思い出しては眠れずに
枯れ葉の隙間から雪を見る

白く染まるこの森で……
繋がれた命を感じると
クルミひとつ此処に残して置こうって決めた

「それがこの木にまつわる物語」
カレらが木の上でそう語り合っていた夏
鉄の塊を抱えた動物が持ってやって来て
惜しむこと無くその木を切り倒した

誰かが生きる為に
誰かを生かす為に

春を見上げる君の瞳は……
薄く涙を浮かべてる
僕から君へのプレゼント

木で出来たそれに触れ……
繋がれた光を感じると
君は僕のあの日の全てをそっと許してくれた

『それが彼女のパパとママが結ばれた物語』
だから彼女の名前は――って言うのかもね