ギターを手に入れて、少し弾き語ってみてから、それから形にするほうが、より想いを残せるんじゃないかと、そう考えていた時期もあった。
◯◯が手に入ってから、と先送りにしてしまうのは、いつでも思考の罠とわかっていながら、正当性があるように見せてくるのが、毎度のこと、たちが悪い。
その時期の僕は、いくつもの仕事を溜めていた。
「あっちが終わってから——こっちの準備が整ってから——」と考えることで、ある種の逃避をしていたのだろう。
「だから、今はまだ」と、できない理由に安心をしたがっていた。
しかし、異なる階層の視点では「これもまた “タイミング” なのかもしれない」と思えることもある。
ある日の閃きで、一気に仕事が片付いた。あんなに行き詰まっていた時間は何だったのだろう。半年も上手く進まなかったことが、わずか二週間足らずでアッサリと終わったのだ。
だから「ギターどうとか、気持ちを整えてからとか、そんなのは一旦置いておいて」と思えた。今ここにあるもので、形にしてみようと。