体験

それでも2、3時間は眠れたのだろうか。

術後の HCU で時計を見ていた時間の方が遥かに長かった。

ボタンを押すと痛み止めのフェンタニルが投与される。

朝になれば一般病室に移されるらしい。

若い看護師に身体を拭かれる。

気恥ずかしさもあったがそれ以上に身動きの取れない不快感の方が強かった。

——

その後状況は一気に動いた。

ベッドが起こされる。
座る姿勢になる。

わずかに立ちくらみのような感覚。

痛みでフェンタニルのボタンを押す。
気持ち悪さが少し。

尿道の管が抜かれる。

これまでにない感覚に身体が追いつかない。

車椅子へ移動する。

心電図を付け直されナースコールを渡される。

部屋に一人になる。

——

何かが急に押し寄せてくる。

咳き込む。

その振動が腹の傷に響く。

そして——

幻覚だったのかもしれない。

心電図の長い音。

「0」という数字。

——

気がつくと目の前に何人もの看護師がいた。

身体を叩かれ名前を呼ばれ続けていた。

意識を失っていたらしい。

——

一般病室ではなく個室へ移されることになった。