結果的に個室で助かったことは多かった。
まずは排便について。
「排便はありましたか?」
看護師に問われるたびに疑問が浮かんだ。
肛門に管が通っているのに排便は出来るのだろうか、と。
大腸が物理的に短くなっていることも影響しているのかもしれない。
しばらくの間、排便の感覚がわからなかった。
紙オムツを付けている状態だったので惨事になることはなかったが、それでもトイレに行くたびに、したいのかしたくないのか、出るのか出ないのか、その感覚がつかめない。
個室にトイレが付いていたことは大きかった。
——
術後二日目の午後。
十代の頃のバンド仲間が見舞いに来てくれた。
会うのは十年以上ぶりだった。
自分が動けない状態でも気兼ねなく話が出来た。
それもまた個室だったからだと思う。
「——またバンドがやりたいな」
現実的なことは何も考えずに、ただそう思った。